初めておふたりとお話したとき、これから創り上げる結婚式への期待感と共に、どこか目に見えない不安感も抱えているような気がしました。ぎゅっと奥の方に何か押し込めているような、そんな気がしました。
お話ししている途中に智美さんがポロっと流した涙の裏側に、きっと私に出会う前、私にいろんな話をしてくれる前、おふたりでたくさんたくさん相談をして、ふたりに相応しい結婚式のカタチを模索して、いつの間にか何が何だか分からなくなってしまった過程を垣間見たようでした。
2人が描く「理想の結婚式」。
そのイメージや、そこに至るまでの課題、譲れない大切なもの、そんな話を聞くうちにおふたりは「たくさんの愛情の中に生きているんだ」と、言葉や表情の端々から漠然と感じました。与えることも受け取ることも、きっと自然体に満ちている2人が、このまま、今のまま、さらに大きな幸せへと進めるような結婚式をつくろうと決めた、結婚式の半年前。
そんなおふたりの舞台となったのは、大自然に囲まれたリゾート施設。贅沢な緑と澄んだ空気。思わず深呼吸をしたくなる、広々としたその場所は、凛としていて優しいところでした。受付でお配りしたおふたりのヒストリーブックのタイトルは「また、ここから」。【結婚式はゴールじゃなく、2人のスタートである】これは、わたしがいつも何より伝えたいことです。そんな「ここから」始まる決意のようなものを感じて、胸が熱くなりました。
お仕事で忙しい中、会場装飾で使いたいと、知り合いに頼んでたくさんの丸太を用意したことや、おふたりは遠方に住んでいるから、1日にぎゅっと詰め込んでたくさんの打合せをしたことや、Skypeでの打合せは毎回楽しみで仕方なかったことや、事あるごとに「嬉しい」「ありがとう」「幸せ者です」「心強い」と、気持ちを伝えてくれたことや、1つ1つを丁寧に大切に大切に積み重ねていった半年間を思い返していました。(打合せの様子を撮影して、ムービーに入れてくれてたなんて!)
「伝える」ということは、いつでも出来て簡単なようで、なかなか難しい。それが大切な想いであればあるほど。
どんな手段で、どんな言葉で、どんなタイミングで、誰に向けて。おふたりは、この「伝える」ことに決して手を抜きませんでした。飾らず、不足なく、温度を持って、真っすぐに。幼いころ、習わせてもらっていたピアノ教室。ふたりが人生を共に歩もうと決めてから、実はずっと昔からふたりには共通点があったことに気付いてビックリしました。そして、ふたりが弾くピアノが大好きだったそれぞれの親御さん。結婚式という場で、ふたりが演奏するピアノも大きな親孝行の1つでした。
「彼女といると、人の温かさを感じる」。そう表現した泰臣さんの心の温かさを感じました。これからもきっとたくさんの愛情と感謝を、自然に惜しみなく周りに与えていくんだろうおふたり。そんなおふたりの人生の一部にそっと触れることが出来たこの結婚式は、時間が経てば経つほど、今でも心で大きく育つ宝物として私の中にあります。末永い幸せを、心から願っています*