例えば。みんながみんな、結婚式にキラキラしたイメージを抱いているわけじゃなくて、心配や不安の方がちょっと大きかったりすることだってあります。そしてそれを少しだけ後ろめたく感じたり、少し戸惑うことだって。「結婚」とは、言葉にできない感情を引き連れてくるものだし、それでもやっぱり奥深い愛情がこんがらがってるんだと、ふたりとの日々で改めて感じました。
「まだ何も決まっていないのですが、お話だけでも伺えたらと思いご連絡させていただきました」とメールをくださったのは、新婦の潤美さん。初回はzoomでお会いしようとお日にちが決まった後「うまく言葉に出来ないことが多いから、お会いする前に読んでください」と、これまでのふたりのことや家族のこと、今の想いや結婚式に思うことなどが書かれたお手紙を送ってくれて、初めてのzoomの日を迎えました。おっとりとしたおふたりは空気感がとてもよく似ていて、時々顔を見合わせてニコっとしたり、同じタイミングで首をかしげたり、同じタイミングで固まったり(正確には「止まったり」。「聞こえてますかー?」って3回くらい聞いた気がする。笑)(そして、新郎の好宣さんは、背景ぼかし機能にやられてずっとぼやけてた。笑)、とにかく「マイペースです」と言うふたりはふわふわと柔らかくて、でもどこか(良い意味で)頑固な部分もあるような、そんな印象でした。ふたりは4年半前に一度式場見学に行ったけど、そこでモヤモヤを感じてストップ。でも勇気を出して一歩踏み出して、その気持ちを想像するととにかく不安なく、いっぱい笑って結婚式へ向かっていくことを大切にしたいと思いました。でも、それだけじゃ何か足りないな。とも思っていました。
家族婚をすることになったふたりからご家族とのエピソードを聞いていく中で、どこかふたりは「家族を巻き込むこと」を遠慮しているような気がしました。あくまでも「ふたりが家族をお招きする」は、もちろんそうなんだけど、もう少しご家族にも「実感」として参加して欲しいというか、その必要があるなと思ったから「新婦ご実家でのお支度」をご提案しました。挙式を行う神社からご実家までは、高速で片道1時間。決して近い距離ではないけど、もしもそれを希望するなら絶対に叶えたいと思ったし、その価値があると感じました。「潤美さん。結婚式の朝、ご実家でお支度しませんか?」と急に言い出す私に、潤美さんの反応はイマイチ。なんで?って感じだったかもしれませんね。「やっぱり、実家でお支度したいです」とお返事いただいたのは、それから1ヶ月後くらい。もう、結婚式までは残り1ヶ月を切っていました(ソワソワしたよ!)。実家でお支度することに、実は最初はあまり乗り気じゃなかったお母様。前日にお電話した時も、当日お家にお邪魔した時も「どうしましょう」「どうしたらいいかしら」といろんなことを心配されていたけれど「大丈夫です。全部整っていますから、あとは身を委ねてください」と伝えて、とにかく一生懸命子育てをしてきた実家で、娘が花嫁になっていく過程を見ていただきました。いつも通りテレビからはニュースが流れていて、本当は結婚式に来て欲しかったおばあちゃんの写真の前で花嫁になっていく様子を見ながら「よかったね」「すごいね」ってどんどん笑顔が増えて、その様子を見て潤美さんもすごく可愛く笑っていて、うまく言えないけど「家族揃って結婚式を迎える」過程を見たようでした。「みんながシーンとなっちゃったらどうしよう」と心配していた披露宴も、美味しいお料理を囲んで、ひとりずつとゆっくり言葉を交わして、目を見て笑い合って、とってもあったかい時間でしたね。
お色直しの控室で「疲れてないですか?大丈夫?」と声をかけると「すっごく楽しいです!」と手を叩いて表現してくれた潤美さん。「あまりにいろんなこと突っ込むから、たぶん私のこと5回はキライになりましたよね?笑」とウザ絡みする私に「いや、そうじゃないと良い結婚式ってつくれないですよね」「一緒に写真撮りましょう!」と言ってくれた好宣さん。準備期間中にご懐妊が分かって、体調があまり良くない日もあって(レモネード飲みながら打ち合わせ)、お気に入りのドレスのサイズと少しずつ大きくなるお腹を何度も照らし合わせて(過去最高のフィッティング回数記録!)、打合せ以外にもたくさん電話でお話して(うまく伝えられない不安がないか心配だった)、潤美さんとお電話してる途中でお仕事から帰ってきたのに気配を消そうとする好宣さんに「気付いてますよー!おかえりなさーい!」と絡んで(潤美さん、ナイススピーカー対応!)、ふふふふと笑ってしまうような思い出がいっぱいあります。ご準備、ほんとうにお疲れ様でした!そして、とっても素敵な結婚式でした!!